概  要

 1.制定の趣旨
    本ガイドラインは、元請負人と下請負人との関係に関して、どのような行為が建設業法に
   違反するか具体的に示すことにより、法律の不知による法令違反行為を防ぎ、元請負人と下
   請負人との対等な関係の構築及び公正かつ透明な取引の実現を図ることを目的として策定。
 2.本ガイドラインの内容
  a.建設業の下請取引における取引の流れに沿った形で、見積条件の提示、契約締結といった
   以下の10項目について、
   @ 留意すべき建設業法上の規定を解説
   A 建設業法に抵触する恐れのある行為事例を提示

 1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)
 2.書面による契約締結
  2−1 当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)
  2−2 追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)
 3.不当に低い請負代金(建設業法第19の3)
 4.指値発注(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)
 5.不当な使用材料の購入強制(建設業法第19条の4)
 6.やり直し工事(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)
 7.赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)
 8.支払留保(建設業法第24条の3、第24条の5)
 9.長期手形(建設業法第24条の5第3項)
10.帳簿の備付け及び保存(建設業法第40条の3)

  b.関連法令の解説として以下の内容を掲載

11.関連法令
  11−1独占禁止法との関係について(建設業の下請取引に関する建設業法との関係)
  11−2社会保険・労働保険について(社会保険の強制加入方式)

  c.建設業の下請け取引に関し留意すべき以下の関連条文等を掲載

・建設業法(昭和24年法律第100号)(抄)
・建設工事標準下請契約約款(昭和52年4月26日 中央建設業審議会決定)
・私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)(抄)
・建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準(昭和47年4月1日 公正取引委員会事務局長通達第4号)
・建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)(抄)


建設業法に抵触する恐れのある行為事例

 1.見積条件の提示(建設業法第20条第3項)

【建設業法上違反となる行為事例】
 元請負人が予定価格が700万円の下請契約を締結する際、見積期間を3日として下請負人に見積を行わせた場合
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件により下請負人に見積を行わせた場合

A元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人が、未回答あるいは曖昧な回答をした場合

 2.書面による契約締結
  (1)当初契約(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】
@下請工事に関し、書面による契約を行わなかった場合
A下請工事の関し、建設業法第19条第1項の必要記載事項を満たさない契約書面を交付した場合
B元請負人からの指示に従い下請負人が書面による請負契約の締結前に工事に着手し、工事の施工途中又は工事終了後に契約書面を相互に交付した場合

  (2)追加・変更契約(建設業法第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】
@下請工事に関し追加工事又は変更工事(以下「追加工事等」という。)が発生したが、元請負人が書面による変更契約を行わなかった場合
A下請工事に係る追加工事等について、工事に着手した後又は工事が終了した後に書面により契約変更を行った場合
B下請負人に対して追加工事等の施工を指示した元請負人が、発注者との契約変更手続きが未了であることを理由として、下請契約の変更に応じなかった場合

 3.不当に低い請負代金(建設業法第19の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、下請負人による見積額を大幅に下回る額で下請契約を締結した場合
A下請負人が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取り扱いをする可能性がある旨を示唆して、下請負人との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請契約を締結した場合
B元請負人が、下請代金の増額に応じることなく、下請負人に対し追加工事を施工させた場合
C元請負人が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

 4.指値発注(建設業法第18条、第19条第1項、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となる行為事例】
@元請下請間で請け負い代金の額に関する合意が得られていない段階で、下請負人に工事を着手させ、工事の途中又は工事終了後に元請負人が下請負人との協議に応じることなく下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合
A元請負人が、下請負人が見積を行うための期間を設けることなく、自らの予算額を下請負人に提示し、下請負契約締結の判断をその場で行わせ、その額で下請契約を締結した場合
【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が、自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく、一方的に下請代金の額を決定し、その額で下請契約を締結した場合
A元請負人が合理的根拠がないのにもかかわらず、下請負人による見積額を著しく下回る額で下請代金の額を一方的に決定し、その額で下請契約を締結した場合

 5.
不当な使用材料の購入強制(建設業法第19条の4)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@下請契約の締結後に、元請負人が下請負人に対して、下請工事に使用する資材又は機械器具等を指定、あるいはその購入先を指定した結果、下請負人は予定していた購入価格より高い価格で資材等を購入することとなった場合
A下請契約の締結後、元請負人が指定した資材等を購入させたことにより、下請負人がすでに購入していた資材等を返却せざるを得なくなり金銭面及び信用面における損害を受け、その結果、従来から継続的取引関係にあった販売店との取引関係が悪化した場合

 6.やり直し工事(建設業法第18条、第19条第2項、第19条の3)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
 元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を下請負人に行わせ、その費用を一方的に下請負人に負担させた場合

 7.赤伝処理(建設業法第18条、第19条、第19条の3、第20条第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@元請負人が、下請負人と合意することなく、下請工事の施工に伴い副次的に発生した建設廃棄物の処理費用、下請代金を下請負人の銀行口座へ振り込む際の手数料等を下請負人に負担させ、下請代金から差し引く場合
A元請負人が、建設廃棄物の発生がない下請工事の下請負人から、建設廃棄物の処理費用との名目で、一定額を下請代金から差し引く場合
B元請負人が、元請負人の販売促進名目の協力費等、差し引く根拠が不明確な費用を、下請代金から差し引く場合
C元請負人が、工事のために自らが確保した駐車場、宿舎を下請負人に使用させる場合に、その使用料として実際にかかる費用より過大な金額を差し引く場合
D元請負人が、元請負人と下請負人の責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を下請負人に行わせ、その費用を一方的に下請代金から減額することにより下請負人に負担させた場合

 8.支払保留(建設業法第24条の3、第24条の5)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
@下請契約に基づく工事目的物が完成し、元請負人の検査及び元請負人への引渡し終了後、元請負人が下請負人に対し、長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
A建設工事の前工程である基礎工事、土工事、鉄筋工事について、それぞれの工事が完成し、元請負人の検査及び引渡しを終了したが、元請負人が下請負人に対し、工事全体が終了(発注者への引渡しが終了)するまでの長期間にわたり保留金として下請代金の一部を支払わない場合
B工事全体が終了したにもかかわらず、元請負人が他の工事現場まで保留金を持ち越した場合

 9.長期手形(建設業法第24条の5第3項)

【建設業法上違反となるおそれがある行為事例】
 特定建設業者である元請負人が、手形期間が120日を超える手形により下請代金の支払を行った場合

10.帳簿の備え付け及び保存(建設業法第40条の3)

【建設業法上違反となる行為事例】
@建設業を営む営業所に帳簿及び添付書類が備え付けられていなかった場合
A帳簿及び添付書類は備え付けられていたが、5年間保存されていなかった場合
建設業法遵守ガイドライン(平成19年7月)